学校の子どもたちを生き生きと撮ろう
− 学校の先生のための,写真の撮り方の極意 −

作成 2014.9/6
更新 2014.12/10


 偉そうなことを書いているはらきんであるが,実際のカメラの腕前は素人も同然。本当の意味で人間を美しく撮る方法は他の本格的なページに譲るとして,はらきんからは,学校の先生が子どもたちの活動の様子を記録する写真に少しだけ楽しさを持たせる,そこに特化して日頃の実践を紹介した思う。

(※1) プライバシー保護のため,画像にはぼかし・モザイクがかけてあります。写真のページなのに写真を見せられないジレンマがありますが,やむを得ません。ご了承ください。
(※2) このページは,2014(平成26)年度,三好郡市情報教育部会夏季研修会で発表した内容をまとめたものです。



■ 高価なカメラは必要なのか


 写真の話になったとき,はらきんがよく受ける質問に,「やはり良いカメラでないと,いい写真は撮れないんでしょ。」というのがあります。じつはこの質問の答えは難しいと思うのです。「カメラより腕の問題ですよね。」というのも確かですが,デジタル一眼などある程度の性能を持つカメラでないと撮れない写真というのも,現実にはあります。つまり,YESでもあり,NOでもある。どんなに良いカメラであっても,構図などは撮る人のセンスによるところが大きいし,右の写真のように,背景をボケ(※1)させて先頭の児童の強さを強調するにはCCD(※2)の大きいカメラや望遠の効くレンズでないと撮れません。
(※1)写真でボケというと悪いことのようだが,ピンぼけのボケとは違い,「背景を整理する」と考える。
(※2)フィルムに相当する,デジタルカメラの感光部品で,光を電気信号に変換する。コンパクトカメラと決定的に違うのがこのCCDの大きさで,これが大きいほど表現力が高くなる。


はらきんが現在愛用しているカメラ・レンズ。
デジ一は,D90と20〜200mm汎用ズームレンズ。
それほど高価なカメラを使っているわけではない。


背景を整理すると,中心となる被写体が強調される。

無限に広がる空間から画面を切り取るのは,カメラの性能ではなく,センスの問題。造形美やストーリーを探すことだと思っている。

市内にある公園の風景。デジ一で撮ったものの,
緑がきれいだという以外,何のおもしろみもない
写真である。

よく見ると,池の縁に水筒と袋がある。これを中心に
撮るだけで,「わすれものだろうか。」「女の子かな?」
など,いろいろと想像させる写真となる。周囲からど
のように画面を切り取るか,というのが,大切なセン
スの一つである。


■ 場面ごとの写真の撮り方


まずは,この今回のメインとなる運動会から。運動会は,子供たちがいきいきと活動する代表的な場面で,シャッターチャンスの宝庫だ。

次の2枚の写真は,構図的にはほとんど同じだが,決定的に違う点がある。そして,その事が2枚の写真の出来を大きく分けている。何かお分かりだろうか。

そう,背景に万国旗が写っているかどうかである。写真を撮るときにどうしても中心となる被写体ばかりに注意が向いてしまうが,一緒に画面に入ってくる背景などにも気をつけてみたい。「運動会らしさ」を演出するものを入れることで,ぐっと運動会らしさが出てくる。そして,万国旗はその機能が非常に強力である。その意味で,競技の進行上は万国旗はピンと張っている方がいいのだが,写真の都合だけを言うと,多少垂れ下がってくれている方が画面の中には入りやすくなってくる。
 
はらきんは,玉入れの写真を撮ら
せたら(自称)日本一?
 
よいしょっと大玉を持ち上げる感じ
を伝えるために,少しローアングル
で撮影。ローアングルだと,万国旗
が入りやすくなる。
 
ポンポンと万国旗で,とてもカラフ
ルな画面になった。

(偶然だけど)高く積み上がったピラ
ミッドの写真に,万国旗が斜めに切る
ように入ってとても格好良くなりました。


他にも,いくつかはらきんが気をつけていることを紹介してみる。絶対ではないが,良い写真を撮るための参考になれば幸いだ。
 
大人が良いと思う写真を,撮られた子どもは必ずしも
喜ぶとは限らない。歯を食いしばった瞬間ではなく,
格好良く撮ってやるのが,撮影者の思いやりという
ものだ。

低学年のバトンリレーだが,コーナートップが先生の
手を借りずに見事にできている。人が重なって写る
場面では,偶然の「構造美」が表れることがある。

徒競走では,ゴールテープを切る瞬間は感動的だ
が,それでは下位の子が引き立て役になってしまう。
まだ勝負がつく前の序盤を撮るのもおすすめだ。

「おやつとり」を撮らせても,はらきんは(自称)日本一。
お菓子が幼児の手に渡ってしまう0.2秒前に撮る
のがコツ。お菓子をあげてしまうと,係の子にとって競技
は事実上終わってしまい,笑顔が無くなってしまうからだ。


記録(写真)係になった人は,こんなことにも気をつけて撮ると,とても喜ばれる。

高学年児童は用具などの係もしていると思うが,
係や運営でがんばる児童の様子も撮ってお
くとよい。

はらきんは徒競走やリレー種目では,全員の児童を
撮るよう心がけている。6年生が卒業時に好きな写真
をコピーして持ち帰るときに,必ずといって良いほど
チョイスしていく。

教員は毎年似たようなことをしているので,白線や
テントの位置,入退場門の位置すら一年経つと記
憶があやふやになる。こうした配置や各種掲示,
テントや椅子の数等を記録しておくと便利だ。

他にも,競技責任者の先生は,指揮している競技に担任している子が出ているのに撮れないことが多いので,気をつけて撮ってあげよう。
また,特別支援学級の先生も自分では撮れない場面があるので,気をつけてあげよう。



運動会から少し離れて,他の場面で気をつけることを紹介しよう。


特別支援学級の横にある,先生方の名前を
覚えてもらう掲示。しかし,このテの掲示に
写っている自分の顔写真に納得していない
人がけっこういたりする。

図工室にある,ビーナスさん。
あれ?こんなお顔でしたか?
顔だけで良いからと思って近づいて撮ると,
ほおや鼻が強調され,実際より丸顔に写って
しまう。

3m以上は離れて,カメラのズームを使って
顔写真を切り取ると,背面の方眼からも分かる
ように,ひずみを少なくして撮ることができる。

写真は,空間とともに時間を切り取ることもできる。普段は見えない瞬間を見ることができるので,文句なく格好良く撮れる。被写体の児童にも満足してもらえることだろう。

小学生のスピードなら,
指先にボールを付けて
撮ることができる。
(ちょっと自慢・・・)

スポーツモードで撮るのもいいけれど,
競技は走路が分かっていることが多い
ので,子供が画面の中に入ってくるの
を待って撮ると,慌てて手ぶれなどを
起こすことが少なくなる。

半押しやフォーカスをロックするテクは必須。




最後に,はらきんが「難しいなあ」と感じる場面を紹介しよう。コツをご存じの方がいれば,教えて欲しい。


光量が少ない体育館で活動する子どもは
画面が流れてしまうことが多い。今のところ,
トリミングを前提に引いて撮っている。※1
 

大玉送り。
基本,低学年の競技で,児童の顔はおろか
姿さえ撮れないことがある。

水泳。
水しぶきやゴーグルで,だれが泳いでいるのか
分からない写真が多くなる。

ドッジボール。
多くのボール競技と違い,敵側がボールから
離れようとするので,ボールを奪い合う迫力の
ある写真が撮りにくい。

(※1)ISO感度をとんでもなく高く(800以上)して撮る方法もあるが,はらきん的には邪道。絞りを固定し,シャッター速度が上がらなければ,そのカメラ・レンズで狙う写真は撮れないと考えるべきだと思う。



■ おわりに

 夜間や発表会の撮影がきれいにできることを売りにしている高価なカメラもあるが,学校で子どもが活動するのは基本昼間なので,それほどこだわる必要はないと思う。CCDが大きくて,ある程度のズームが利けば十分だ。学校で子どもを撮るときに必要なのは,被写体となる子どもと活用する先生への思いやり,いいものに素直に感動する心だと思う。シャッターチャンスを逃すまいとする気持ちは,常に子どもの良いところを見つけようとする姿勢に通じるものがあると思う。先生が学校で撮る子どもの写真は評価であると言えるかもしれない。
 撮る先生にとっても,撮られる子どもにとっても,楽しい写真であってほしい。

by harakin